勉強より“商売センス”──経営者が家庭で仕込む教育術

沼崎さんという経営者に出会いました。

年商1億から45億まで育て上げた実力者で、経営者としての胆力も数字感覚も相当なもの。でも、今回私が紹介したいのは「彼の子育て論」です。

最初は「え、子育て?」と思ったんですが、話を聞いていくうちに、あまりにも深くて。というか、子育てから経営の本質すら見えてくる感じでした。


「勉強しろ」の本当の意味

沼崎さんが何気なく放った言葉。

「親の“勉強しろ”って、三菱商事に入社しろってことなんだよね」

えっ?と思いつつ、なんか納得してしまった自分がいました。

三菱商事、年収2000万、日本のトップ企業。いわば、「勉強→いい大学→いい会社」のゴールの象徴みたいな存在。

「でも全員がそこに行けるわけじゃないし、そもそも本人がそこを望んでるかどうかもわからない。」

沼崎さんは言います。

「だったら、自分でビジネスすればいいじゃん」


勉強って、必要になったらやる説

彼の子供たちは野球が大好き。勉強にはあまり関心がなかったそうです。それでも止めなかった。むしろ、

「いつか自分のタイミングで勉強するから大丈夫」

そう思っていた。

で、どうなったかというと──

・長男はすでに年商3000万円の会社を経営
・次男は茨城県内の大手不動産会社で2位の営業成績

それぞれ、自分の得意を活かして立派に成長。

沼崎さん自身も、学生時代は全然勉強してこなかったのに、会社を背負ってからは死ぬほど本を読んだそう。

勉強しないと、やりたい経営が出来なかったから。

「必要になったときに、絶対やる。むしろその時こそ、身につくんだよね」

この話、めちゃくちゃ共感しました。

私も、学生時代より今の方が圧倒的に勉強してる。

しかも、自分で選んだテーマだからこそ、吸収率が全然違う。


商売センスの英才教育

もうひとつ面白かったのが「商売センス」の話。

沼崎さん、採用活動をしていて気づいたことがあるそうです。

「商売人の家の子は、商売センスがある」

儲けることに対して、変な罪悪感がない。

これは育ちの空気感の影響が大きいと。

デフレを経験してきた世代は「安さ正義」や「節約こそ美徳」みたいな価値観を持ちがち。でもそれって、知らず知らずのうちに「儲ける=悪」って刷り込まれてるんですよね。

だから家庭でお金の話、仕事の話をすることが、実は“最大の教育”かもしれない。

沼崎さんは、中学生の自分の子どもを、仕事の出張に同行させたり、「高校生になったら会社やってみなよ」と声をかけていたり、かなり本気で“経営者育成”してます。

これ、非認知能力とかアントレプレナーシップとか、最近の教育ワードにも通じる気がします。

家庭で親が仕事の話をするのは、商売センスの英才教育かもしれないと思いました。


子供が大人になってからの子育て

そして一番刺さったのが、この言葉。

「子育てって、大学出したら終わりじゃないんだよ」

「えっ?」と思ったんですが、続けてこう言うんです。

「むしろそこからが本番。一緒に会社を大きくしていけるのが自営業の特権。しかもそれ、めちゃくちゃ楽しい」

今、長男・次男と一緒に事業を育てている最中だそうです。

ここまでくると、もう“子育て”というより“共育”って感じ。
親子で一緒に成長していく話。

会社のことだけじゃなくて、結婚、子育て、働き方、価値観…大人になってからも子どもに教えられることはたくさんある。

子どもとの時間は今しかない!と思っていた私にとって、この発見は目から鱗。

子どもが大人になってからも出来ることがいっぱいある。そう考えると、自分も人として成長し続けたいなって思ったりしました。


最後に、自分への問い

子どもを、どこまで“解放”できるか?

ちゃんと勉強して、ちゃんと進学して、ちゃんと就職して…

そう願うのが親心。でも、そのルートから外れたときにこそ、本当の“その子らしさ”が現れるのかもしれない。

我が子が“商売”で世界を切り拓く可能性。

それ、ちょっと見てみたいなと思ったのでした。